雨が降っていました。
 静かでいて重みのある、遠い雨が降っていました。

 確かな存在感を感じるのに、
 降っていないのではないかと思ってしまう雨でした。





 二人の男がその雨の中、対峙しておりました。


 一人は忍でありました。
 闇色の装束に黄金色の鉢金、真紅の巻布という姿でありました。


 一人は剣人でありました。
 漆黒の下衣に緋い上衣を纏い、五尺に余る抜き身の大太刀を手にしておりました。









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