男は剣人でありました。
古い古いある流派を細く密やかに伝えるものでありました。
男の腕は天下に知られた者たちに、決して引けを取らぬものでありました。
されど知る人の少ない流派であり、太平の世でありましたから、
男の名が天下に広まることはありませんでした。
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