(メストムック収録バージョン)
この男は昔から物欲が強く、欲しいものはすべて手に入れなければ気が済まない性格だった。また大言家でプライドも高く、泥棒稼業に足を突っ込んだのも、世界中のお宝を手にいれてやる、と豪語したために後に引けなくなったからだ。だが、彼にも盗みの才能があったのか、天才的センスと勘、そして腕前で一度たりとも保安官に捕まったことはなかった。
「グヒッ!今回も俺様の勝ちよ!」
いつもの様に銀行を襲い、金塊を奪ったアースクェイクは仲間たちと一緒に逃亡していた。3メートル近い巨体をひるがえし、颯爽と夜の町を駆け抜けて行く。
そのとき、がつんと音がしたかと思うと、目の前が真っ暗になった。「おい、奴を捕らえたぞ」という声が、その時聞いた最後の声だった。
不幸にも捕まってしまったアースクェイクを、腕利きの保安官はまるで汚いものを見るように見下した。
「貴様のような悪党はいつかはこうなる運命だったんだよ。ジパングのニンジャでない限り俺からは逃げられないのさ」
ジパングのニンジャ。アースにとって初めて聞く言葉であった。彼は、その保安官から言葉巧みにニンジャのことを聞き出した。
「グヒッ。なるほどねぇ。盗っ人稼業にはもってこいのトレーニングじゃねえか」
その夜、アースクェイクはその巨体から繰り出される怪力で牢を破り、その足でジパングに向かった。もちろん、ニンジャのトレーニングをうけるために。
数ヶ月後、アースクェイクは都合よく日本に渡ることができ、甲賀のくノ一だったという女性から忍術を教わることが出来た。偶然にも同じアメリカ人の少年が先に入門しており愛犬と共に忍術を教わっていた。数週間の修行の後、アースクェイクはこれなら自分でもできると、いとも簡単に見切りを付けてアメリカに帰ってしまった。同じように修行を積んでいた少年は呆れてものも言えなかったという。
後日、全世界で異変が起きたとき、マヤの秘宝パレンケ・ストーンを狙い各国を回っていた。そのときに、その後も修行を積んでいた少年と再び出会うことになる。だがアースクェイクのほうはすっかりと忘れてしまっていた、というエピソードが残っている。
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