(メストムック収録バージョン)
タムタムの村は、守り神といわれる、パレンケ・ストーンによって守られていると信じられていた。実際、スペインをはじめとするヨーロッパの船が、タムタムの周りの部族の村々を占領したとき、侵略者達は彼の村を見つけることすらできなかった。すべてはパレンケ・ストーンのおかげと、この光る石は村人の信仰の対象となっていた。
遠く離れた異国でアンブロジァが天草を復活させたころ、異変の波がタムタムの住む南米をも襲った。だがタムタムの村の周りの自然だけが被害をくい止めることができた。この村は神の石によって守られている、村人はそう思い、ますますパレンケ・ストーンへの信仰を深めていった。そしてその安心感が今回の事件を呼び起こした。
それほどに強大なエネルギーを持つパレンケ・ストーンに、天草が目を付けない訳がなかったのである。またたくまに天草に村の宝珠が盗まれ、タムタムの村にも初めての危機が訪れた。植物は枯れはじめ、原因不明の疫病がはやり、虫や動物までもが死んでいった。
パレンケ・ストーン捜索には村の勇者であったタムタムが選ばれた。タムタムにとってまたとない栄誉であったし、パレンケ・ストーンに関わることは村人としての誇りでもあった。
ごうごう、と音を立て激しく火が燃えている。目的を達成するまで外してはならないといわれた「神の面」を付ける儀式が始まった。この面をつければ神の加護を授かることができると言われている。そして一度戦いがおきれば神が降りて来て、代わりに戦ってくれるという。後日、神の面をつけたタムタムが戦っているところを見た者は、さながら鬼神のような戦いぶりだったと語っている。また、純粋な子供たちは仮面を付けたタムタムを異常に恐がった。それほど、神の仮面の神通力は絶大なものであった。
「タムタム、ぱれんけすとーんゼッタイ探ス。我ガ神、けつあるくあとるニ誓ッテ!」
タムタムがそう誓うと、村人は勇者に向かって祝福の雄叫びを上げた。南米のジャングルを後にあてもないタムタムの旅が始まった。
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