ねっとりとした空気が流れている。周囲は完全な黒、闇さえもここでは輝いてしまう程究極の暗黒。ここは現世の者達がいうところの魔界である。亡者の啜り泣く声が無限に続くBGM。ありとあらゆる負の感情が辺りをおし包んでいた。(※1) GFGFFFFFF。 魔界が動いた。宙を漂う数万の亡者が潰され消滅し、また再生する。ここ魔界の魂は、無限の消滅と再生を繰り返す。その度に、啜り泣く声が心地よく魔界に響き渡る。 GGGGFFFFGFGFFF。 再び魔界が動き出そうとし……………止まる。 ………GFFF。 魔界が嗤ったような気がした。微かに吹いた魔風に数万の亡者が吹きとばされ塵になり、そして再生する。 GFGFFFF……愚かな……我が分身……を……取り込もうと云うのか……GFFFF。 GFFFFFF………おもしろい………。 魔界が震えた。 「あっ、あああああああああっ………あうあう…ああっああああああああううううあううう………」 身体を締め付けられる恐怖。朦朧とする意識。………魂が闇に染められていく。 (先程までは、押さえ込んでいたのに……) 「…………様!」 遠くから自分を呼ぶ声がする。 …………………わたしの名を……………わたしの…………わたしは…………。 魔界が吠えた。 「あああああああっ、ああうあう………ラキラキ………ああああんううううあううう………ラキキ………」 意識が遠退く。今までに無かった身体を絞め上げるこの恐…………いや、快……感?………快感。 (わたしでは………) その瞬間、心が弾けた。 「…………様、大丈夫ですか?」 耳障りな音が、臭いがする。それに、わたしの名は…………では無い。 「ラキ、ラキキキ………」 力が漲る。軽く右手を振り払う。 ごうっ。 ずぴゅう。 驚愕、悲鳴、絶叫、……………血の心地よい香りが辺りに広がる。 「ラキ、ラキキキ、わたしの名は………羅将神ミヅキ。この世のすべての夢は今終わりを告げた。もう神の愛も平和もありはしない。あるのは憎悪と恐怖と我が魔界のみ」 魔界が嗤った。 再び、この世に最兇の魔が甦った。生きるものに絶望を与えるために、世界を暗黒に変えるために。 (※1)ここを文章化する事は非常に難しい。あえて文字を使用するならば…… 黒 泣き声 恨み 黒 悲鳴 怨念 黒 嫉妬 怒り 叫び 妬み 殺 黒 憎悪 黒 黒 黒 殺 黒 中傷 怨念 憎悪 悲鳴 黒 妬み 泣き声 ……とまぁこんな感じ。 |