宿敵・覇王丸を倒すべく、彼を追っていた幻十郎。 ところが、あともう一歩というところで邪魔が入る。 立ちはだかる異形の輩を斬るうち、幻十郎の中の野獣が牙をむく。 |
刀銘:銘刀 梅鶯毒 作:銘 國徳 作日:1206年(建永元年) 刀剣の分類:彎刀 日本刀の分類:打刀 刀身:2尺5寸 造りこみ:鎬造 説明:庵棟、華表反高く、踏ん張りがあり、中峰となる。 豪壮にして華麗なる作風で名をはせ、古今に並ぶものがないといわれた鎌倉時代の刀匠國徳が、齢百をこえ、生涯最高の刀を作り上げるべく、残された精魂をすべてそそぎこんだ名刀にして、妖刀。 断食をおこない、水すら口にせず体を浄めた國徳は、霊峰富士にこもり、1年もの間不眠不休でこの刀を鍛えあげた。それゆえこの刀のできは、神懸かりなまでに美しく妖しく、一目見た者の心を激しく揺さぶり、正気を失わせる。 最初の犠牲者は、作者國徳自身であったという。山にこもって3年、一向に下りてくる気配を見せない師匠國徳を心配して、様子をのぞきにいった弟子を待っていたものは、むせるような死臭と幾千ものしゃれこうべ、そして梅鶯毒を我が子のように抱きかかえ、呆けた笑みを浮かべる國徳の変わり果てた姿であった。 その後、この梅鶯毒は、持ち主を転々と変えていくのだが、そのいき先で様々な凶事を引き起こし、妖刀として人々に恐れられた。 |