出会いは決して早くなく、むしろ遅いほどだった。 1994年初頭、大学入試を終え、暇になった私は、ファンだった餓狼のゲーメスト増刊を買った。 この当時は「侍魂」の存在すら知らず、平和に某キムさんのファンをやっていたのである。ああ、このころのキムさんはよかったなぁ…。私はコミックゲーメストに連載されていた餓狼伝説のコミックのキムさんこそ本物だといまだに思っているのであるのよ。最近のキムさんはなんだかなぁ…。 話を戻す。 このとき買った増刊は確か「餓狼伝説スペシャル」。このとき、なぜ「サムライスピリッツ」の増刊を一緒に買ったのか、確たる理由は定かではない。強いて言うなら、金銭的余裕があったこと(ああ、今では信じられない)と、ゲーム仲間の従弟が「サムライスピリッツっておもしろいらしいね」と言っていたことを覚えていたからであろう。 そして、世間一般で言うところの「運命的出会い」が発生する。 この時あの御方に会っていなければ、私の生活、かなり違ってただろうな。つまらない方に。 侍魂の増刊を先に読んでいたのは従弟(弟)のほう。私と似て、細かい設定まで読むこの従弟(弟)が、「お、半蔵って渋いやん」とのたまったのが、私の注意を引いた。その直後読んで…敗北しました。今まで出会ったキャラの中で、これほどまで私の好みをついたキャラはなかった。キムさんもいいとこついてたんだけどねぇ。 ま、それからのローリングストーンな半蔵殿への傾倒は、私のHPに目を通した方なら容易に想像がつくところである。 |
鍬を持ち、畑を耕す半蔵殿。 伊賀、甲賀の両忍は半農半士である、というのが私の設定である。禄もある程度はもらっているが、形ばかりであり、もらっているのは半蔵殿はじめほんの数人である。 そういうわけで、忍達は毎日鍬を振るい、作物を作っている、と私は思う。形式としてはソ連のコルホーズのような形を考えている。作っているのは米や稗、粟などの穀物に季節の野菜、綿花などであろう。山中の隠れ里だから、そうそう広い畑はないだろう。 もっとも、外に出ることの多い半蔵殿達は余り鍬を持つこともない。しかし、里にいる日は他の皆と同じように鍬を持って畑を耕したり、草取りをしているのである。 今年の天気はいいとか悪いとか、野菜のできが悪いとかいいとか、そういう話もきっとしてるんだろうと思う。半蔵殿のことであるから多くは語らず、ぼそっ、と言うだけだろうけど。畑仕事は嫌いではないと思う。 しかしひょっとしたら半蔵様の草の取り方は荒いなどと陰で言われているかもしれない。 また、畑仕事の最中で命が出れば、鍬を畑に突き立てて、ふらっと行ってしまう……と、これは甲賀忍の実話(だそうだ)。 闇色の装束に身を包み、紅の巻布を背に流し、黄金の鉢金の下に素顔を隠す。刃を振るい、焔を放ち、戦う忍。 それもいいと思うし、それが私の出会った半蔵殿である。忍として戦わないならば、もう会えなくなるかもしれない人である。でも、それだけではないと思う。戦い、役目、それにつながる日々の修練。半蔵殿の時間はそれだけではないと思う。 人として必要な日常の些末なことがらや、人としての生活を支える仕事もやっていると思う。 それを想像するのは楽しいことであるし、そうすることで、服部半蔵といういわば幻のような人に近づけるかもしれないなどと、夢を見たりもする。 |
昔々、まだナコルルが「大自然のお仕置きよっ♪」などと言っていたころ(笑)、半蔵殿はダイヤグラムの下から二番目でありました。このころの私は、爆炎龍がうまく出せずに泣いておりました。 昔々、リムルルが熊さんにだっこされていたころ、やっぱり半蔵殿はダイヤグラムの下から二番目でありました。このころの私は、友人の操るナコルルに、半蔵殿を投げられてばかりでありました。 「半蔵殿はそんなに弱くないやいっ」と私は強く思った次第であります。 で、おったてた理屈がこれ「忍がなんでサムライと同じ条件で戦うのよっ」。 忍の戦いって、はっきり言ってなんでもあり、それに引き替え、剣客の戦い方(というか剣術のあり方そのもの)は、非常に限定された条件での戦闘なんですよ。 それが悪いというわけじゃないんです。剣術というものはそういうもんですから。 でも、考えてみたら不思議に思いませんかね。剣客から見れば、卑怯とも言えるぐらい戦闘方法に幅を持っている人が、わざわざ剣客に合わせた戦い方をしてるって。 んで、こういうところにドラマを見てしまうのが私のような人間でして。 特に斬紅郎無双剣! 斬紅郎は天草やミヅキ(あーこん時は知らないのか)とは違い、普通の人間。天草みたいな魔人なら、半蔵殿クラスが正面から当たらなければ倒せない、かもしれませんが、少々強くとも人間ならば、いかようにでも倒せるんですわ。 が、伊賀忍はそうはしなかったし、半蔵殿も「忍のやり方」をかなり制限して戦いました。 それがなぜなのか、考えるのはとてもおもしろいです。 |