「ふうま」あるいは「かざま」という名の忍の多くは皆、「封魔」の一族の末裔である。かの風魔小太郎率いる
風魔忍群もまた、そうであり、こちらは平将門の霊を見守る役割を負っていた。
御楽衆は他の藩や江戸の城に忍び入って情報を集めることはしない。ただ、彼らが旅の間に見聞きしたことを
藩主に伝えているだけである。だがそれが却って、他藩や幕府の実情を知らせることとなっている。
旅の最中に身を守るために、御楽衆は「御楽流武術」という戦闘術を身につけている。基本は伊賀流忍術に近い。
特徴的なのは「楽」を使った術である。そのため、音を司る気である「木気」に長けた者が御楽衆には多い。
体術にしても「楽」を使った術にしても、彼らの技は「身を守ること」が第一である。もはや彼らは忍ではなく、
芸人なのだから。
御楽衆は現在、一つの役目を加賀藩から与えられている。それは「鬼に襲われた村の再興」である。加賀藩にも
鬼は現れており、いくつかの村が犠牲となった。村がなくなるというのはそれだけ収益が減るということであり、
その再興はそれなりに重要時である。
しかしこれは、御楽衆からの頼みが元となっている。旅する中で、鬼に襲われた村を見、生き残った子供たちを
哀れんだ彼らが、子供たちを救うために願い出たのである。
藩の許可を得た後、御楽衆は、鬼に襲われた村の生き残りを集め(子供が非常に多い。また、他藩の村の出の子も
いる。他藩では加賀のような村の再興は行っていないので、御楽衆がこっそり連れてきた)、村々を再興しつつある。